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Nintendo Switch「片恋いコントラスト ―collection of branch―」感想

Nintendo Switch「片恋いコントラスト ―collection of branch―」の感想です。  

 

 

 

 

 

作品概要  

片恋いコントラスト -collection of branch - Switch

片恋いコントラスト -collection of branch - Switch

  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: Video Game
 

機種: Nintendo Switch

作品名: 「片恋いコントラスト ―collection of branch―」※PCソフト3作を1つにまとめた移植作品

CERO: B(12才以上対象)

あらすじ: 主人公はとある経験から友達を作らず恋をせず、1人でいることを好んでいた。高校進学にあたり、お気に入りのラジオ番組のアルカンジェ舞渡華のメッセージから一歩を踏み出したことで、友達ができたり、生徒会に加入したり、そして恋も…?

 

 

参考情報

キャラ別タイプ

・主人公(CV:無し)…ネガティブ、物静か、誠実

・椎葉 亜樹那(CV:緑川光)…おおらか、マイペース、お人好し

・樫永 和兎(CV:日野聡)…腹黒、嫉妬深い、クール

・檜渡 鈴太朗(CV:近藤隆)…後輩、人懐っこい、まっすぐ

・桐阪 保(CV:森田成一)…先輩、人気者、執着

・楠見 清孝(CV:鳥海浩輔)…先生、怠慢、大人の余裕

・楡居 凪(CV:吉野裕行)…転校生、似た物同士、ぶっきらぼう

 

攻略推奨順

 椎葉亜樹那・樫永和兎(第1巻)→檜渡鈴太朗・桐阪保(第2巻)→楠見清孝・楡居凪(第3巻)
 (発売順通り。)

 

オススメポイント

 ・三角関係の切なさがテーマのストーリー!

 ・高校生らしい悩みと甘酸っぱい恋愛模様

 ・様々な出会いが主人公を成長させる!

 ・同級生、先輩後輩、先生、転校生との様々な恋が楽しめる!

 

攻略目安時間

 フルコンプまで18時間程度
 (各巻エンド数2、イベントコンプ、スペシャル全て閲覧)
  ※ボイスをある程度飛ばしてプレイする場合

 

糖度

 普通(三角関係や初恋に悩む高校生を描く。キャラによって甘さは微糖〜そこそこ甘め。)

 

難易度

 簡単
 (選択肢は3択だが、愛キャッチあり。エンド数も好感度で変化する2つしかない。)

 

評価 60/100

 三角関係を主軸にした3つのストーリーが収録されており、それぞれには同級生、先輩と後輩、先生と転校生のテーマが設けられている。ストーリーはほぼ一直線で、一途なプレイをしたとしても絶対に三角関係に突入し、最終的にどちらか1人と結ばれるようになっている。主人公の片思いと彼の片思いを両方共じっくりと描写しており、高校生らしく些細な事でドキドキしたり、気まずい雰囲気になったり、切なくピュアな気持ちを味わえる。

 イラストはお世辞にも上手いとは言い難いが、柔らかい雰囲気が作風にはマッチしてはいる。少女漫画をゲームにした雰囲気で、三角関係をテーマにした作品は滅多に無いため新鮮に感じた。主人公は少し暗い性格だが徐々に成長してくれるし、しっかりと悩んでから結論を出してくれるおかげで感情移入しやすい。なお、2人の男性から迫られてどうするか迷って楽しむゲームではない。

 

 

感想(ネタバレ注意)

ストーリー感想

 主人公は基本的に2人の男性から好かれ、三角関係になり、あなたの人生はまるで木のように枝分かれしていく…とは舞渡華の言葉だが、各巻寂しくも2つのエンドしかないのが残念。ただ、フローチャートでは既読状態でも、好感度や選択肢でイベント内容が大きく変わるので見かけよりはボリュームがあった。三角関係とはいえ主人公も安易に心変わりせず、しっかり悩み抜いて1人の彼を選んでくれるので安心した。また、巻によって恋愛相手が異なっても、第1巻から他メンバーにも出番があり、どんな人物かが垣間見えてワクワクした。

 主人公の悩みは高校生らしいリアリティさがあるのに、校内の森にハリネズミが登場したり、女性に人気の男性達が主人公を特別扱いしてくれたり、所々どこか現実味がない。学園祭の最終日に体育祭があるなんて、強行日程で大変そう(予算状況によっては体育祭無くなるなんてアリ?)。そういえばどうでも良いけどハリネズミ「ピー」という鳴き声は満足してる状態らしい(Google検索調べ)。

 三角関係は個人的に割と好みなテーマだが、本作はプレイしていて大変心が苦しかった。なぜなら、毎度主人公が2人のうち片方と先に良い雰囲気になって両思いなのが分かってしまうから。その状況でもう1人が割り込む形になってしまい、どうしても心証が悪くなってしまう。もちろん彼らが主人公を好きなことは非常に良く伝わってくるのだが、プレイヤーとしては主人公には初めて好きになった相手と結ばれて欲しいと思ってしまう。自分が好きな三角関係はありきたりにも、男性2人から同時に好意を向けられて主人公が悩むパターンだと気付かされた。三角関係のゲームが世の中あまり無いのも分かる気がする。

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↑唐突なハリネズミ…!しかも立ってる!?

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↑好感度は常にチェック可能。

 

 

イラスト感想

 動きがかなり固く、同一人物でも立ち絵やスチルによっては別人に見えることがあるのが気になった。良いシーンなはずが、スチルのクオリティが低くてしらけてしまうことも。シンプルな作画とあっさりした塗りだから、どうにも誤魔化しがきかない。ただ、柔らかい絵柄は本作の雰囲気にマッチしている。

 背景は綺麗で、植物が至るところに配置された校舎がとてもおしゃれ。中高一貫の高そうな私立っぽい。

 トップページやバックログ等、コミック風の演出が随所に見られ、やはり少女漫画を少し意識しているように感じた。 

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↑トップ画面。

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バックログ吹き出しや背景がコミック風。

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↑春夏秋冬に合わせて服装も変わる。


 

システム感想

 フローチャートはイベントジャンプができるのは便利だが、ストーリー分岐表示が少し雑なせいであまり意味を成していない。フローチャートからは一見ストーリー分岐がない箇所も実は好感度によって内容に変化があり、シーンによってはスチルが追加されることもある。2周目以降は多数の彼視点のストーリー追加があって、はじめからスタートしないと見られないから、中断時以外にセーブする必要はない。

 全体的にシンプルなつくりのおかげで挙動も軽く、スキップや選択肢ジャンプによりサクサクと進められる。オプションは第1〜3巻全てに適用されるので、1度設定するだけで良いのはありがたい。システム面は十分機能が揃っており、不便さは感じなかった。

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フローチャート、ストーリーは序章→初恋→傷恋→三角関係の順に進む。

 

 

キャラ別ストーリー概略&感想(ネタバレ注意)

椎葉 亜樹那&樫永 和兎

 主人公は高校初日、校内にいたハリネズミを追いかけると亜樹那に出会う。主人公は友人を作らず1人でいたかったのに、亜樹那の積極性に負けて、彼の幼なじみの和兎含めて仲良くなる。亜樹那は誰とでも仲良しになれる明るさを持つ一方でたまに切ない顔を見せる。主人公は事故に遭いかけて亜樹那から抱きしめられてから、彼と一緒にいると冷静ではいられなくなってしまう。

 これが恋だと気付くのに時間は掛からなかったものの、亜樹那はサッカー一筋で決して恋人を作らないことを公言しており、必死に思いを押さえ込もうとする。しかし、哀しい顔をする彼を支えたいと思った瞬間、無意識に告白していた。振られてしまい落ち込む主人公に和兎は優しくしてくれ、突然付き合おうと言ってくる。どうやら和兎には目的があるようで、主人公は亜樹那を忘れるためにも渋々提案を受け入れる。

 あくまでも付き合うフリで正式な恋人ではないのに、和兎からキスをされて主人公は混乱、いつの間にか和兎は主人公に対し本気の気持ちを抱いていた。それでも亜樹那を忘れられない主人公を見て事情を明かしてくれた。亜樹那が過去に和兎の兄を事故で亡くしてからずっと罪悪感に囚われていること、当初和兎は亜樹那を見返すために主人公と付き合おうとしていたことを。亜樹那が本当は自分のことを好きだと知り、主人公はどうすべきか悩むが…?

 

 亜樹那は同じクラスのムードメーカーで、和兎は他クラスの王子。当初亜樹那は変わり者のように見えたものの、味覚音痴なだけで主人公が孤立しないようにただ配慮して合わせてくれたような気がする。人を疑わないお人好しの性格だから、誰に何を言われても動じない。反面、和兎は外見から女子に騒がれるのが内心嫌でも八方美人で誰に対しても優しく、自身本来の性格が主人公にバレてからは、表面上取り繕わなくて済み安らぎを得る。和兎が敬遠したくなるほど亜樹那は心が綺麗だけど、これはこれで将来悪人に騙されそうで不安。

 亜樹那は理由があったとはいえ、自分が原因で傷心してる主人公に笑顔で和兎を勧めるのはエゲツない。かと言って振られたばかりの主人公を軽々と誘う和兎も特段主人公を好きなわけではなく…。ともあれ、性格が真逆でも優しい気持ちは2人とも持ってはいて、最後には主人公をお互い譲り合ってて仲良しすぎて笑った。だから主人公が一旦彼らへ友達同士を希望した後の1ヶ月間、話しかけても一切無視するのは驚いた。どんなことがあっても人として挨拶くらいは返して欲しいな。

 主人公が亜樹那に惚れた気持ちは分かるけど、亜樹那が主人公を好きになった理由があまり分からなかったかな。亜樹那って誰とでも打ち解けられるから、主人公以外にも好きになれる子いたと思うんだよね…。特に本作の主人公は大人しくモテにくい性格なので。少し唐突な展開だったものの、和兎なら主人公が本音で話せる特別な女友達だったから納得できる。 

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↑好きな相手から、笑顔で他の人との恋を応援されて辛い。

 

 

檜渡 鈴太朗&桐阪 保

 高校へ進学しても1人でいることを選択しようとした主人公は、生徒会長の桐阪先輩から強引に加入させられた生徒会で多くの人と交流するようになる。中等部の鈴太朗に一目惚れから告白され、桐阪の一言がきっかけでお試しで付き合ってみることに。突然のキスに気まずくなっても、鈴太朗は優しく主人公を受け止めてくれ、両思いとなって正式なお付き合いへ発展。ところが、鈴太朗は人望があって皆から好かれており、女友達が2人の仲を引き裂こうとする。

 鈴太朗は誠実に思いを伝えてくれたものの、主人公は嫉妬心の苦しさから別れてしまう。すると元々主人公を好きだった桐阪が猛烈なアタックを仕掛けてくる。人脈を活かして主人公を探し出しては毎日昼ご飯を一緒に食べ、どんなに拒絶してもめげることがない。気付けば女たらしの印象が変化して恋する一歩手前の感情を抱くまでになる。

 桐阪は1年前に生徒会の活動で着ぐるみを被って熱を出してしまったところを主人公に救われ、以来好意を抱いていたらしい。そして季節が巡り、高等部へ進学した鈴太朗が生徒会に入ってきて、ことあるごとに2人は主人公を巡って争い、主人公はまた一層悩んでしまう。学園祭でアルカンジェ舞渡華をゲストに招き、アドバイスを受けたことでようやく心を決めるが…?

 

 第1巻から既に好意が伝わってきた2人がメイン。学内人気ナンバーワンの桐阪がこんなに執着するほどに主人公を好きになった理由がショボい。命を救うレベルの内容かと勝手に期待してたら、本人曰く桐阪保を知らずに親切にしてくれたから恋しただなんて、さすが人気者かつ打算的性格だからこその発想だなあ…なんて。かと言って鈴太朗は主人公の寝顔に一目惚れしておいて、人の物を壊して逃走とは…しかも人の顔見てカウントするのは怖いよ笑。

 主人公が鈴太朗と別れた後は彼の出番がほとんど無く、ずっと側にいて好意をアピールしまくる桐阪の印象が凄まじくて、主人公が鈴太朗を少し忘れそうになる気持ちは理解できた。こうしてみると互いに積極的に会おうとしない限り、中等部と高等部の隔たりによって元々すれ違いやすい状況だったことがよく分かる。しかも、なんでも言って欲しいと言ってくれた鈴太朗には本音を打ち明けられなかったのに、大人の余裕があって頼りになる桐阪に対しては思いを話せているあたり、複雑な気持ちになった。生徒会に加入したことで主人公が成長したからだとも思うけど、そのきっかけも桐阪なんだよね…。

 桐阪は何でもかんでも怖いくらいにできすぎで、付き合っても釣り合いとれるか不安になりそう。人間味のある欠点が何かあって欲しい。ただ、主人公へのアタックの仕方全てがイケメンだから許される行為で、本人も自覚しててやってそう。生徒会のメンバー皆本当に良い人達で、さすが全校生のために働く仲間だよね。自分だったら議論の場でしょっちゅう1人の女性を巡って取り合う光景なんて見たくないな。

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↑鈴太朗の様子を見て憤るが、主人公と2人きりになりたがる桐阪自身棚に上げた発言な気がする。

 

 

楠見 清孝&楡居 凪

 主人公はテストの結果が芳しくなく、しかも歴史で唯一の赤点を取ってしまい、楠見先生の補習を受けることに。以前からもコンビニのシール集め等で関わりがあったが、さらに仲が深まっていく。テストの点が向上し、楠見が生徒と懇意にしない事情を知る。自身が教師を目指すきっかけとなった尊敬する先生が、生徒に心を疲弊し辞めてしまったからだと。距離を置こうとする楠見に、主人公は思い切ってバレンタインデーに告白して玉砕する。

 進級して楠見が担任となり、楡居が転校してくる。第一印象はお互い最悪だったが、友達付き合いが嫌いな楡居に主人公は親近感を抱く。隣の席同士で話す機会が多く、気付けば楡居から放課後勉強を教わるようになっていた。実は楡居は主人公と同様にアルカンジェ舞渡華の熱心なラジオリスナーで、父親の仕事の関係から転校が多く友人を作るのをやめてしまっていた。同じ趣味を持ち気の合う2人は周囲から噂されるほど親しくなるのだった。

 楡居は主人公を友達のまま現状維持するか悩んだ結果、恋人になって欲しいと告げる。そして、楠見も楡居に触発されて、教師を続ける気を起こしてくれた主人公へ好意を伝えてくれる。主人公は気付けばラジオを以前に比べて聴かなくなり、自身の気持ちに自信を持てなくなってしまう。そこへちょうど学園祭にゲストで招いたアルカンジェ舞渡華に直接相談できたことで結論が出る。だが、2人から告白の返事を迫られ、逃げ出した主人公はラジオで…?

 

 ストーリー上、楠見先生にも秀才の楡居にも接点を作るためとはいえ、主人公が赤点ばかりのお馬鹿ちゃんすぎて泣けてくる…ただ暗記するだけの歴史(多分日本史?)でたった1人赤点、そのうえ楠見先生が授業中テストに出る箇所を教えてくれてるのに。確実に勉強不足で、授業中も寝てるのだろうか?

 楠見は先生なので生徒と一線を引いているのもあるだろうが、全然照れる姿がなく、楡居に何言われても顔色変えず大人の余裕を感じさせた。ただ、当初は全財産を宝クジに当てて散財してたり、無意識に主人公へ手を出しちゃったりするのはヤバイ。楡居は主人公との相性が良さそうで、主人公から積極的に話しかけて心を許しあえている様子から、友達としても恋人としても最も相応しく思えた。もちろん高校進学から1年経過して主人公が明るくなったせいもあるだろうけど、楡居と一緒にいるといつも楽しそうだよね。年下の鈴太朗よりも子供っぽくても、2人で支え合っていけそう。

 ラストはラジオを使った告白の返答と、第3巻として締めくくるに相応しい演出だった。自分が何よりも優先してきたアルカンジェ舞渡華のラジオだったのに、恋や学生生活で多忙になって気付けば優先順位が下がっていく。でも、舞渡華と直接話せたからこそ、ラジオでまた1歩踏み出せた。今後もラジオは聴くだろうけれど、自身の耳を常にヘッドホンで塞いで他人を遠ざけることは無いのだろうと思えた。 

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↑歴史で赤点を取らなければフラグも立たなかったと思うと、先生との恋はやはりハードル高い。

 

 

攻略情報

 クリアでスペシャルに後日談のショートストーリーが解放されます。また2周目以降は男性目線のストーリーが追加されるため、はじめからスタートして残りのキャラを攻略すれば、エンドもイベントも簡単にコンプできます。なお、1周目のセーブデータのロードからではフローチャートにシナリオ追加されませんので注意が必要です。